1人アリアンロッド/第2話・骨集め(その1)
その中でも人気のあるテレーザの酒場に、常時貼り出されている依頼があった。
スケルトンのドロップ品、「踊るシャレコウベ」を3つ、探してきてほしいというものである。
「スケルトンを倒すなら、『バルドの墓地』がいいんじゃないかしら」
貼り紙を持ってきたサクノシンにナイスな情報を教えてくれるルチア・テレーザ女将。
「ほう、するとそのダンジョンはスケルトンが出やすかったりするのか?」
「いいえ」
「じゃあAイベントで必ずスケルトンが出るとか」
「全然」
「すると、まったく普通の1レベルダンジョン?」
「ええ、まったく普通の1レベルダンジョン」
「…………」
「…………」
「あっ、いっけない! 料理の支度をするの忘れていたわ」
女将は逃げ出した。
まあ確率論的に、3×3のマップが3層、計27枚のトランプを引けば、スケルトンに遭遇するイベントに直撃する可能性は低くはない。
それにミッションデータの中に、ほかにダンジョンレベル1のものが残ってないんだから贅沢は言ってられません。
本当にこのミッションはクリアできるのだろうか……そんな一抹の不安を胸にバルドの墓地に挑む、我らが主人公サクノシンであった。
--------------------------------------
落ちる宝箱、シャッフル、無限回廊、全快の休息地、ルビーリングゲットと引いて、6部屋目。
「俺たち」
「妖魔」
「戦闘部隊!」
ポーズをとって背景に爆発を起こしながら(演出)、オウガ2匹とバグベア1匹が現れた。
どーでもいいけど、ここまでのスペードイベント(バトルイベント)カード、Q、9、Jと、高いナンバーしか引かないのは何故でしょう。
しかし前2回の戦闘と違って、この連中は鬼のような物理防御力を持っていません。
それに1D6を振って、バグベアが1匹しか出てこなかったのは僥倖です。
ふっ……
もともと3~5人用に組んであるであろうものを、1人でやろうなんて馬鹿げている──前回までを読んで、そう嗤っている読者もいることだろう。
だが、それが不可能ではないことを──今、示す!
さあ行け、サクノシン!
お前の実力を見せるときが来たのだ!
次回へ続く!