[TRPG論考]RPGのパズル性
さて、Tが付くのにせよ付かないのにせよ、RPGの「ゲームとしての楽しさ」の半分か1/3か2/3程度は、そのパズル性の面白さによって形成されているように思う。
ところでRPGのパズル性が、普通のパズルより面白いと思う点がある。
それは、普通のパズルは正解が1つ(稀に複数ある場合もあるが、その場合でも数えられる程度の数)しかないのに対し、RPGのパズル性は正解がいくつも、それこそプレイヤーとキャラクターの数だけ無数に(というとさすがに大袈裟だが)存在するという点だ。
また、それらの正解はすべてが等価ではなく、80点の正解があったり70点の正解があったり、50点分正解である選択肢があったりする。
そのようなパズルの解答を、ゲーム中何度も繰り返し、それに運の要素が混ざり合い、元々の難易度などとも兼ね合いながら、最終的な結果がはじき出される。
そういう雑多で多様な要素が絡み合うところが、普通のパズルと、RPGの「パズル性を含んだゲーム」との違いと言えるのかもしれない。
プレイヤーに「自分なりの答え」を見つけ出すことが許されている、そんなあたりがRPGのパズル性の素敵なところだと思う。
さて、ここからは深淵回廊というTの付かないRPGの話になるのだが、この定期更新型RPGは、僕が近年遊んだRPGの中では抜きん出てパズル性の面白いRPGだと思う。
(行き過ぎて、コミュニティによっては「解けないパズル」が混ざっていたりもするが、まあこの際それは置いとこう)
例えば、最近の敵が多用してくる要素として、「接近攻撃防護」「火器・射撃攻撃防護」「魔術防護」というのがある。
効果は読んで字の如くで、これが酷い敵になると同じ効果を2枚も3枚も持っていたりする。
1枚持っていればダメージ1/3ぐらいにされるので(多分)、3枚持っていたら、ダメージは1/27だ。
本来の威力が強力な攻撃でも、ここまでダメージが落とされれば「論外」だ。
「論外」の攻撃をいくら叩き込んでも敵は倒せない(というか殴り負けしたり、息切れしてぐだぐだになる)
ここに、ただ漫然と戦っただけでは勝てないゲームができあがる。
しかし、これだけでは単純すぎて面白くない。
ただ、「接近攻撃防護」と書いてある敵には射撃か魔術で攻撃し、「魔術防護」と書かれている敵には物理攻撃を仕掛けるようにすればいいだけの話だ。
というわけでここに、第二、第三の要素……いや、実際のところ第十ぐらいまで要素が追加で絡んでくる。
例えば属性。
敵の属性が火10、風0、土10、水0、さらに無属防護×3とか持っていれば、まともに通るのは風か水属性の攻撃のみというような按配だ。
例えば、攻撃本来の威力。
面白いことに、深淵回廊にはあからさまに基本性能の高い技と、あからさまに基本性能の低い技とが並列的に混在している。
属性防護や攻撃種別の防護が入っても、半減か1/3かぐらいの程度であれば、技の基本性能でゴリ押しできる場合もある。
逆のケースとして、敵の特性との相性は最高でも、技の基本性能が低すぎて結局大したパフォーマンスをあげられない、なんてこともある。
ほかにも、例えば種族による特攻/耐性効果。
例えば状態異常、その耐性。
例えばキャラクターの能力値と所持クラス。
例えば入手可能な武器。
例えば武器の特殊効果と隊列。
例えば武器破壊、防具破壊による耐性除去、及び敵の装備破壊への耐性。
例えば敵の反撃系技能をどうあしらうか。
などなど。
このぐらい多数の要素が絡んで複雑になってくると、パズルとしての面白みが増してくる。
「最高の正解」を見つけることがそう容易ではなくなり、ぴしゃりとハマるような解が見つけ出せたときには嬉しくなるし、それを実践して思惑通りに事が運べば痛快だ。
(何かを見落としていて思惑通りに進まなかったりすると頭を抱えることになるのだが、それはそれで天に運を任せることになったりして、面白かったりもする)
また、そもそも最高の正解がどれとも言えないような状況も生まれてくる。
毒と睡眠と狂気をばら撒いて衰弱死させる戦術と、ただただ全力でぶん殴って敵を粉砕する戦術とが、同じぐらい有効だったりするわけだ。
そこに来ると、多くのTRPGでは、そのパズル性は貧弱であると言わざるを得ない。
「どちらかというとそっち系」と言えそうなアリアンロッドやソードワールド2.0などでも、このようなパズル性を担える要素は少なく、敵も味方も自らの最も得意とする最強の攻撃を全力でぶつけ合うばかりの「王者の戦い」に終始することが多いように思う。
(無論、故意にそのようにゲームデザインしているのかもしれないが)
こういうところが改善されれば、TRPGのゲームとしての面白さももうちょっとは改善されるのかな、などと思ってみたりもする。
GMの工夫次第でいくらかはカバーできると思うので、場合によってはそういうことも考えてみると面白いかもしれないデス。

