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Stray thoughts

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随想。あるいは道に迷った思考。

[TRPG論考]当事者性の話ですって

 紙魚砂日記の記事を読んで思ったことなど。
 もし本人がこんなところを見るようなことがあったら……まあ、有名税だと思ってご容赦ください(笑)
 だって仲間内の1人が頻繁に引用するんだもの。引用されたら見てしまうし、見たら考えてしまうし、考えたら表に出したくなる。

卓上ゲーム板用語の「当事者性」
 これは紙魚砂さんの考えている「当事者性」とは、さっぱり別の問題を説明したものだと思う。
 ゆえに、FEAR社の作品が「当事者性」という言葉をこちらの意味で用いているならば、紙魚砂さんの考えている「当事者性」と齟齬が生じるのも当たり前で……

 つまり、TRPG業界において「当事者性」という言葉は、2通りの意味(用法)があると考えるのが妥当かと。

 用法1は、この用語辞典に載っている定義。
 事件の解決にNPCがでしゃばりすぎるべからず。
 逆にNPC(国などの大きな組織、世界的な英雄など)がでしゃばらないと解決できないような事件をセッションの主題にしない。
 そういうセッションは「当事者性の低い」シナリオで、プレイヤーのテンションも上がらないよと、そういう話。

 用法2が、紙魚砂さんの言っている用法。
 すなわち、「実際に事件に遭う人=PC」であるほうが「当事者性が高い」セッションであるというもの。
 
 それら2つの用法がある中、そのどちらの用法が「当事者性」という言葉が表すにふさわしいものであるか、なんて話をしてもこれはしょうがないわけで。
 まさに今週の絶望先生の対極拳ですな。

 まず「当事者性」という言葉を使う人は、その言葉に2つの意味(用法)があるということを認識すること。
 また、それによって議論が混乱してしまう可能性があることを念頭に置いておくこと。
 これが重要なんじゃないかと思います。

 「ロールプレイ」という言葉の用法問題と同じで、どうもこの辺、言葉の定義をしっかりしていかないと議論が混乱する傾向にありますね。
 しかも議論になると、自説の正しさを証明しようとする気持ちが強くなるあまり、相手の言いたいことを正しく受け取る能力が減少する傾向にあります。
 こりゃもう、僕もそうだし、人間そういうもんでしょう。

 言葉面から揚げ足を取るのではなく、相手の言いたいことを適確に読み取ろうとすること。
 難しいですが、それを意識している人とでないと、たいてい議論は不毛になります。
 (そういう心構えのない人とは、議論するべきでないと思っておるのですが…)
 教育業界じゃあるまいし、その辺はクールに行きたいものです。

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 ところで、この用法2のほうに関して、個人的にちょっと言いたいことがありまして。
 何かというと、「当事者性(用法2)の高いセッションのほうが望ましい」は誤りである、と言いたい。

 より厳密には、「当事者性(用法2)の高いセッションのほうが望ましい、とは限らない」です。
 というのも、個人的に当事者性(用法2)の高いシナリオでは、痛い目を見ていることが多くてね……
 プレイヤーの性質とぴしゃりと嵌れば、そりゃあ面白かろうと思うんですが、逆にうまく嵌らなかったときには「面白くない」を飛び越えて「不愉快」にまで行ってしまいます。
 1人が不愉快になると、拡散効果で卓全体に不愉快が広まってしまいます。

 安定性よりはピーキーさを、ローリスクよりはハイリターンを求めているのが、「当事者性(用法2)が高いセッション」と言えると思います。
 GMは、そうした「当事者性(用法2)が高い」シナリオを用意するなら、そのリスクの大きさを認識しておいたほうがいいと思います。
 少なくとも、セッションがうまくいかなかったのをプレイヤーの能力の低さのせいにするなんてことは、ないようにしていただきたいですね。
 それでは、一期一会のもてなしの心に欠けるというものです(←昨日土曜プレミアムの美味しんぼを見てた人)

 なお、個人的には、「1)事件等に遭遇した人物とPCが親しい」ぐらいが、多くのプレイヤーに対応できる一番バランスの良い「当事者性(用法2)」の程度だと思います。
 時代劇とかそんな感じですやね。僕は「三匹が切る」方式と呼んでいますが。
 まあこれはあくまで個人的なバランス感覚によるもので、一般解と言えるほどではないと思いますが。



 ではでは。
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by ikapon24 | 2009-11-15 16:38 | TRPG論考