[世界樹の迷宮Ⅱ]ウィルの冒険4(3階)
持ち帰ったいくつかのアイテムにより、シトト交易所にいくつかの新商品が並び、うちいくつかを購入して装備を整える。
パメラの鞭がワンランク上のレザーウィップになったのが、目立った強化だった思う。
宿で休んだ僕たちは、再び3階の探索へと向かった。
「磁軸の柱」の効果により、いきなり3階の地へとたどり着く。
この階の探索の問題点は、扉の向こう、強力なFOEのいる部屋をどう突破するかだ。
軽く探りを入れるように動いてみてはいるのだけど、いまだに、あのFOEがどう動いているのかが、はっきりと分からない。
そして、一通り動いてみて思ったのだけど、おそらくあれは──
「退路を確保して動いていたんじゃ、先には行かせてくれない気がするんだ。思い切って向こう側に抜けることを考えないと、これ以上進めないと思う」
僕はみんなに、そのように考えを述べる。
ちなみに今は、「磁軸の柱」の近くでお弁当を広げながら作戦会議中だ。
不思議なことに、「磁軸の柱」の近くの一帯はモンスターが寄り付かないようで、こういった場にはうってつけだ。
なお、今日のお弁当当番は僕とレミィで、栄養バランスも考えられたわりときっちりした感じの食事がならんでいる。
「いいじゃん、行っちゃおうよ。いざとなったらアリアドネの糸もあるんだし、大丈夫、大丈夫」
パメラがそう言って、卵焼きを1つ、嬉しそうに口に運ぶ。
……自分で作ったものながら、パメラが食べるのを見てると、本当においしそうに見えるんだよな。
冥利に尽きるというか、なんというか。
ともあれ、その意見に反対する者もいなかったので、「思い切って退路捨て作戦」は実行に移されることとなった。
みんなでお弁当を平らげて片付けをすると、軽く休憩をした後、僕たちは未知の地の探索へと取り掛かるのだった。