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Stray thoughts

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随想。あるいは道に迷った思考。

[TRPG論考]もっとTRPGを巧くなれって論調が好きではない

 秋葉の潜水艦で、スキルガイドとアルケミストワークス買ってくるついでに、横に置いてあったくいっくすたーとを買ってきました。
 うん、これは良い漫画だ。
 ネタがFEARゲーに偏ってる(というかFEARゲー限定。まあ掲載誌がゲーマーズフィールドなので当然といえば当然)ので、FEAR系に素養のない人には楽しさが若干ダウンするかもしれないですが、それ差っ引いてもTRPGプレイヤーなら幸せになれる漫画です。

 僕が共感を覚えるのはサチピョンであることは言うまでもなかろうよ!
 まあ僕はダイス目が悪い人がいるなんて、そんな非科学的なことはミジンコたりとも信じていませんがね。そんなオカルト信じません。

 しかしこの漫画読んでると、プレイヤーの能力のタイプって基本的には先天的なものなんだろうなぁとしみじみと思う。
 サチピョンなんかはきっと何十年TRPGを続けてもモモやフミみたいな特性や能力を身に付けることはないんだろうし、その逆もまた然り……は、そうでもないかな?
 一方でルルーシュとスザクを掛け合わせたかのようなシンクーのように、サチとモモを組み合わせたキングオブクラッシャー先輩みたいな完璧超人もいるわけだ。
 実際、能力の優劣で測ったらそういうことになる。……いや、「余命いくばくもない」でCPを稼いでるとか、そういう話は置いといて。


 TRPGプレイヤーはみな己のTRPG技術の上達を図るべきだ、そうすればみんなもっと幸せになれる……という論調が最近とみに見られる気がする。
 一見して正しそうだ。

 けれど実際にはどうだろう?
 そうした論調は、その空気に耐えられなくなった「巧くない」、そして「自らの上達の兆しを見出すことができない」プレイヤーを脱落させていった結果に繋がっているのではないだろうか。

 自分より巧いプレイヤーはもっとたくさんいる。
 その「自分より巧いプレイヤー」は、一緒に参加するプレイヤーを(自分が参加する場合より)もっと楽しくすることができるだろう。
 だったら自分はTRPGに参加しないほうがいい…

 考え方が極端すぎると思うだろうか?
 そう思ったなら大丈夫。あなたは「抑圧する側」の人間だ。まだまだ今のTRPG業界で遊んでいけるだろう。

 逆にこの僕の意見に共感できる人間は危ないかもしれない。
 あなたは「使えないから」と自主退社を迫られている窓際族と同然の位置にいる可能性がある。
 企業の自主退社と違うのは、抑圧している側にその「つもり」がないことだ。

 ……とまあ、ちょっと極端すぎる話になってしまったかもしれないが、要するに技術上達指向とは、そういった副作用もある劇薬なのではないかという話である。


 僕がTRPGを始めた頃──だからもう15年ぐらい前になるのか?──には、そういった「TRPG技術」にこだわる論調は支配的ではなかったように思う。
 その頃に流行っていたのは、どちらかと言えばTRPGをするにあたっての最低限のマナー(今で言うと、アリアンロッドの上級ルールブック、プレイヤーガイドに書かれているようなもの)に関するものだったように思う。

 最低限のマナーから、技術追求へ。
 TRPGをプレイするにあたっての要求水準が、高くなりすぎてはいないだろうか?
 程度に匙加減は必要だが──もっと気楽にTRPGを遊んでいいのでは?と思う。


 個々のプレイヤーには各々好みがあるし、それに付随して成長する能力にも自ずと傾向というものがある。
 好きこそものの上手なれ、というやつだ。

 逆に、その人が苦手なものは、苦手であることに理由があるのだ。
 それはその人自身の根本的な性質と密接に関連している可能性が高い。
 そこを「もっと上達するように努力しなよ」と他人が言うのなら、その他人が思っているほど容易いことではないということを知るべきだろう。
 TRPGでなくてもいい。自分にとって本当に苦手なものを1個改善する努力がどれだけのものか、想像してみるといいと思う。

 そして各プレイヤーの個性を尊重するという視点も、持ち合わせるべきだろう。
 まあ個性どうのなんて話は、言葉で語るよりも、くいっくすたーとを読んだほうがよっぽど染みるのでしませんが。


 ……それにしても「コネ:稲垣浩平」のサクラコさんは、本当に幸せそうだなぁ。
 これこそ目指すべきTRPGの姿だよ、うん。
by ikapon24 | 2009-09-03 13:12 | TRPG論考

by ikapon24